02 長山一樹(Photographer) 2018.01.24

インタビュー一覧

GO-SEES Creator’s Interview

新しいビジュアルが生まれる瞬間 GO-SEES Creator’s Interview

GO-SEESでは、日夜さまざまな撮影が行われています。弊社スタジオで撮影されたビジュアルは実際にどのようなクリエイターによって制作されているのか。ここではGO-SEESを利用して頂いているクリエイターにインタビューし、それぞれの写真やビジュアルへのこだわりを伺っていきます。
第2回は、ファッション・フォトグラファーの長山一樹さんです。

Interview:坂田大作(SHOOTING編集長)


—— 長山さんが写真を撮り始めたきっかけを教えてください。

写真を撮り始める前から少しお話しますと、子供の頃から絵が好きで、小学生の頃からよく絵を描いていました。

それは成長しても変わらず、僕が通っていた高校にはデザイン科がありまして、その中のグラフィックデザイン科を専攻していました。当時は、卒業したら広告のアートディレクターになりたいと考えていました。

長山一樹さん。長山一樹さん。

デザイン科の授業は、2年目で立体と平面(グラフィック)に分かれるのですが、僕は平面の方へ進み、その選択授業の中で「写真」を選びました。写真以外は、デッサンや製図など堅めのものが多かったことも理由としてあります。グラフィックデザインの道へ進むにしても、写真を学んでいた方が将来的に役に立ちますからね。

写真を学び始めると、自分の好きだった平面の世界で絵を描くよりも、写真のコミュニケーションスピードの早さに惹かれていき、どんどんのめり込んでいきました。

そこから写真の専門学校にも通ったのですが、高校時代に割とちゃんとやっていたので、1年目の授業が基礎すぎて退屈で…。「ここにいてもしょうがないな」と思って(笑)、辞めてレンタルスタジオにはいることになります。

その頃には、グラフィックデザインのことは頭になくて「写真を学びたい!」という考えに変わっていました。気が付いたら自宅に暗室を作って、ほぼ毎日写真漬けの生活でした。

—— 高校時代から人物を撮られていたのですか。

撮ってはいましたが、どのジャンルのフォトグラファーになるのかまでは考えていなかったですね。ただ広告写真は専門誌でチェックしていましたし、単純に洋服が好きでファッション誌もよく見ていました。具体的な方向性は、レンタルスタジオに入ってから考え出した、という感じです。

—— レンタルスタジオと言ってもたくさんあります。

専門学校に通っていた頃から、スタジオの求人情報を写真誌でよく見ていて「(まだ経験不足ということもあり)お金は要らないから手伝わせてほしい」と言って、撮影現場にはたまに入っていました。

ある時「美容室のヘアカタログの撮影をやってみないか?」と言われて、撮影しました。その撮影には、何名かのフォトグラファーが関わっていたのですが、僕の写真だけライティングができていなくて、クオリティにかなり差があることをまじまじと体感したんです。

「これはまずいな」と。それで、ライティングを勉強したいと思い、すぐに働けるタイミングだった麻布スタジオに入りました。

撮影中の長山さん。撮影中の長山さん。

—— スタジオで働くことで自分の方向性がクリアになってきたのですね。

仕事をしていく中で、ファッション写真に惹かれていきました。ただ、現場で仕事を続ける中で、自分の思い描いていたファッションフォトの仕事とは乖離を感じていて、自分の理想に近い個人のフォトグラファーに付いた方が得るものが大きいのではと、意識するようになりました。

—— それで守本勝英さんにつかれたのですね。

そうです。ファッション誌は片っ端から穴があくほどよく見ていました。雑誌の場合、クレジットが出るじゃないですか。そこで、色々なファッション誌でよく見かける一人であった守本さんに師事しました。

たまたま守本さんが所属している事務所のサイトを見たら、アシスタントを募集されていて、タイミングもよかったと思います。そこからの3年間はあっという間でした。

歴代アシスタントの中で、スタジオ経験者は僕が最初だったみたいで「スタジオを経験しているとこんなに動けるんだ」と言って頂き、ある意味よいスタートが切れました。このインタビューを読んでくれている若手や学生の方には、ぜひスタジオで経験を積まれることをお勧めします。

—— アシスタントについた3年間はかなり貴重な経験だったのですね。

そうですね。僕が今日この場にいるのも、スタジオ勤務と守本さんについた3年間があってこそです。

自分は理詰めなタイプですが、守本さんはまさに感覚派で、タイプが真逆でした。だから最初は戸惑いもありましたが、自分に持っていないものが得られたことが財産になっています。

—— 独立されていかがでしたか。

守本さんはメンズファッションの仕事も多かったため、メンズ誌の編集部からは「独立したらBOOKを持ってきてよ」と言って頂きました。「独立してやっていくのは、こういうことなんだな」と肌で感じたというか…。すぐにオファーも頂き、おかげさまでスムーズに独立後仕事をすることができました。

—— 独立当初は師匠の写真のイメージを求められやすいと思いますが、そこはどのようにクリアしていかれましたか。

独立したての頃は「こういう仕事ではこんなトーンの写真がいい」とか、「こう撮れば受ける」とか、そういうことを意識して撮影をしていました。そうするとぽいものは出来るけれど、「長山がどういう人で、どういう写真を目指しているのか」という所まで写っているのかと…。

諸先輩たちは、そういうのを見抜くのが早いですし、自分自身も薄々気づいていました。そこで自分が好きなもの、やりたいことを考え直しました。僕は綺麗な写真が好きなのですが、じゃあ「綺麗な写真とは何か」と考えた場合、重要なのは「光」だと。では好きな光にするにはどうすればよいかを考えて、スタジオの方がコントロールしやすい、という流れになってきました。

自分の中で「光」をすごく意識しながら撮った写真の雑誌が発売されて、それがたまたま師匠の目についたようで電話がかかってきたんです。普段は電話もこないんですけど(笑)、「あれ、すごくきれいだった」とボソッと言われたんです。

そのカットが何か特別なことをしたわけではないのですが、すごく正直に撮ったカットだったので、「自分のやってきたことは間違っていない!」と思って、それが自信に繋がりました。そこから自分がやるべきことがわかってきて、それを続けていくと周りが動いてくれる、という部分もありました。独立して4〜5年の頃でした

—— どんな仕事でもファッションフォトがベースなんですね。

ファッションと言っても、じゃあどういうジャンルが好きなんだ、という話になります。最近いつもこういう格好なのですが、人でもブツでも綺麗に撮る、エレガント、上質に撮るのが好きだから、自分のスタイリングから発信することで好きなマーケットの仕事がくるようになりました。

—— カメラや照明機材はどのようなものを使われますか。

カメラは、ハッセルブラッドのH6Dがほとんどです。暗い場所や被写体がよく動くとか、そういう状況の時には35mmカメラを使います。

なぜハッセルかというと、できるだけドキュメントよりもあるイメージにむかって、高いクオリティを目指して詰めていきたいからです。

ファッションはスタイリストやヘアメイクとの共同作業ですから、ある程度イメージを固めて、そこからチームでさらに詰めていきたいんですね。そのためには画質というクオリティも追求したいので、中判デジタルのハッセルを使っています。フィルム時代も、ほとんどハッセルか4×5しか使っていなかったので、その流れのままです。

照明のアタッチメントは「オクタドーム」のMサイズが好きで、よく使います。フォトフレックスから出ている1.5mくらいのサイズがあって、それが気に入っています。光の芯がほしい場合、やわらかくしたい時などオクタを使ってアレンジすることが多いですね。ストロボは、だいたいプロフォトかブロンカラーを使います。

メインカメラはハッセルブラッドのH6Dを使用。メインカメラはハッセルブラッドのH6Dを使用。

—— 様々なスタジオで撮影されていると思いますが、どのようなスタジオが利用しやすいですか。

なぜ僕がGO-SEESを多用しているかというと、まず白ホリの広さもそうですが、メイクルームの広さと全体的な清潔感、キレイなところです。

僕の場合、女性モデルの撮影が多いのですが、女性は環境を気にしますよね。素敵な場所で撮影したいし、GO-SEESはトイレさえもキレイですしね。そこはフォトグラファーじゃなくても意見は揃うところです。

僕個人の好みでいうと、3面アールではなくて、白ホリの両サイドは直角であってほしいのです。というのは、両幅も有効的に使えるのと、たまに白ホリに光をバウンスさせて直角の壁で撮ることもあります。

広尾スタジオは白ホリの両サイドが直角の白壁。広尾スタジオは白ホリの両サイドが直角の白壁。

それを考えると、この位の直角の壁があるレンタルスタジオは、都内でも限られてきます。あと直角であっても、電源盤とか、スタンドの予備とか色々置いて合って実際に使えるスペースが狭いケースもあります。

それと僕は両サイドを黒締めすることが多いのですが、GO-SEESは黒締めできる床までのカーテンが付いているので、一々スタンドを立てなくても簡単に環境が作れます。光を広く組むことが多いので、スペース的な無駄も省けるのはいいですね。

天井レール、黒カーテン常設。天井レール、黒カーテン常設。

—— 広さとしてはどうなのでしょうか。

僕の好きなレンズがハッセルブラッドの150mmなんですね。それを使うとなると、カメラ側の引きがないと、入り口のドアぐらいまで下がることがあります。

モデルをホリの切れ目から1.5m位の所に立ってもらうことが多いので、そこから自分が撮るにはかなりの引きがないとダメなんです。人に当てるライトと奥のニュアンスを作るライトは、意識して使い分けています。

広尾スタジオは白ホリから後ろの壁まで長さ17.5m。広尾スタジオは白ホリから後ろの壁まで長さ17.5m。

—— 長山さんとして、レンタルスタジオに要望はありますか。

GO-SEESは一つのスタジオにアシスタントが3名入るんですけど、3人は要らないかな(笑)。僕の場合は、直アシが2名いるので少なくても大丈夫ですが、最近は直アシを付けない人も多いので、その場合は3人いると心強いですね。

今後は直アシをつける人が減ってくると思うんです。逆に直アシが2〜3名いるフォトグラファーだと、スタジオのアシスタントたちにしてもらう仕事があまりないんです。

もし自分に直アシがいないと想定すると、ライトを組むとかカメラまわりの操作は当たり前として、欲しいのは「情報」と「提案」です。普段忙しくしていると、自分のパターンに陥りがちになるので、色々な撮影を見ているスタジオアシスタントの方から、「最近、こういう機材が発売された」とか「この機材を使うとこういう撮り方ができる」とか、そういう情報をもらえると、それを活かすかどうかは別として、ありがたいですね。

また中判デジタルバックが気になっていても、コストや使い方で今一歩踏み込めないで悩んでいるフォトグラファーが、自分の周囲にもたくさんいますが、そういう人に向けた半額レンタルとか、撮影以外の操作を全てアシスタントができたら、操作の不安がなくなるので、次の機会に借りたり、使ってくれるフォトグラファーは増えると思う。それは撮影業界全体のクオリティアップに繋がるので、ぜひやってほしいです。

レタッチに関しては、それぞれ指名のレタッチャーがいる場合も多いので、スタジオ機能を強化するのとは別物だと思います。

あと以前よりもロケ撮影が増えていると感じるので、ロケにはアシスタントが必要です。人を抱えるということは人件費もかかるので難しい所もありますが、ロケアシのサービスを充実させることは、スタジオのサービスとしても有効だと思います。

—— スタジオアシスタントのスキルをどう捉えていますか。また今後どのようにしていけばよいと思われますか。

どちらかというと「チーム」という形で、上下関係ではない状態で、関係を築いていきたいと思っているフォトグラファーは多いと思います。

経験が少ないから個人の意見がないかといえば、そんなことはないと思います。若い人なりの「こういう感じはどうですか?」という提案とか、そういう良い方向にいけるようなコミュニケーションがとれると、よりいいなと思います。

映像の現場の方が、専門分野で役割が分かれているので、それぞれが意見を言うことは言って、ハキハキしている気がしますね。

スチルはいかんせん、上下関係が厳密でアシスタントは“指示待ち”なことが多いですね。今までは直アシにつかないと仕事がなかったという流れから、例えばロケアシに指名でよく呼んでもらえるアシスタントがいて、クライアントとも仲良くなってきて、「彼は写真のセンスいいんですよ」とか紹介をしてあげる。作品がSNSで見られれば、写真のクオリティもすぐ伝えられる時代になっていますから、独立後の仕事にも繋がりやすい環境が整ってきていると思います。

ヘアメイクやスタイリストはもちろん、アシスタントもフォトグラファーも、レタッチャーもチームとなって意見を言い合えるのが理想の形ですね。もちろんアシスタントにも写真のセンスや技術はもちろん、人間的な魅力がないと中々うまくいかないですけどね。

—— 「ここのスタジオはダメだ」というところはありますか。

僕の場合は、直アシが二人いるので、その日に入ったスタジオのアシスタントができるできないというのは、そんなに目につかないです。

直アシがいないと、スタジオスタッフのスキルに頼らないといけないのですが、そこがダメだと「そのスタジオがダメ」という印象になりがちじゃないでしょうか。僕はヒューマンスキルよりも、使いやすさを見ますね。

一つだけあるのは、スチルを撮るスタジオなのにそこで借りたモニターが、EIZOじゃなく、三菱とかNECとか出てくるスタジオがたまにあるんです(笑)。あと、かなり年式の古いモニターだと、色味的にかなり不安だし、ちょっと冷めますよね。結局そういうところは行かなくなりますよね。駐車場がないとか。

モデル撮影の場合、メイクルームがあまりにも小さいとか、汚いとまず選ばないですね。自分のスタイルとして、自然体の表情を切り取ることは少なくて、どちらかと言うと、被写体にも緊張してほしいんです。表情が硬いとかではなく、仕事に対しての緊張感ない現場は嫌なんです。そういうのを保つためには、空気が“ピシッ”としていてほしいんです。スタジオ自体がヤレヤレだと締まらないですよね。

もしそういうスタジオにあたった場合、セットを几帳面に作ったりとか、大きく作ったりとか工夫をします。被写体がどう思うかは重要です。

各スタジオにローアングル撮影用のローチェアを導入(右)。各スタジオにローアングル撮影用のローチェアを導入(右)。

フォトグラファーじゃないと気にしないかもしれませんが、このローアングル用のコロコロ椅子は、GO-SEESしかないんです。

あとは地べたに座るか、箱馬じゃないですか。箱馬だと持つのも移動するのもずらすのも、いちいち大変なので、あのローチェアを多用します。

普通のコロコロ椅子はどこのスタジオでもあるのだけど、滑りが悪いとちょっと腹たちます(笑)。滑りのよいコロコロ椅子が、撮影用とPCモニター前と2脚あれば最高ですね。

デーライトの機材をスタジオが持っていることは少なくて、キノフロやHMIを借りなければいけなくなります。いざ「デーライトも使いたい」と現場でなった場合、タングステンライトを使い、カメラの色温度を合わせればいい仕上がりになるな、と感じているフォトグラファーはたくさんいます。

その時に定常光の選択肢がないと、タングステン系だとアイランプしかありません。タングステンライトのバリエーションがあるとスタイルが広がりますね。ストロボとタングステンをミックスしていくのは、フォトグラファーにとってライティング意欲が湧いてくるというか…。

最近は、現場でメイキング映像を撮るケースも増えてきていて、その時も定常光が重要になってきます。今は色温度を変えられるLEDとか、新しい機材も出てきていますし、僕が好きなのは、スクープライトと言って、今はプリモしかないことも多いのですが、ポワ〜と回る光なんです。

古いスタジオだとスカイにタングステンがついていますよね。あそこに入っている光がすごくやわらかくてキレイなんです。水銀燈や蛍光灯では撮る気になれないので、スタジオももう一度、地明かりから意識してもいいのかもしれません。

—— 長山さんはインスタグラムもまめにアップされていますね。

仕事に関しては、常に自分の気分を外にアウトプットしています。いまはSNSもありますしね。仕事の写真以外でも、身なりでも食べるものもそうだし、買ったものもそうだし、極力筋の通った人間に見えるようなアウトプットを常に考えています。

それをすることで、営業とは違う営業の仕方というか、見る人は見るし、見たくない人は見ないという、今って営業がしやすい世の中で、勝手に反応してくれるんですね。

逆に言うとアウトプットしないと終わりで、例えば撮ったものをハードディスクに入れているだけではほぼ意味がないというか。アイデアもやったこともそうだし、自分のハードディスクに入れているだけでは誰も気づいてもらえないし、もったいないです。

Instagram: kazuki_nagayamaInstagram: kazuki_nagayama

仕事の撮影では、インスタグラムに上げる段階で、ハッシュタグを3つ付けています。#fashionportrait、#simplicity、#authentic。これはポートレートではなくファッションポートレートいう意識であること。シンプルに物事を考えること。仕事ではなるべく余計なものを足さないこと。オーセンティックというのは、クラシックなものが好きで、昔からいいとされているブランドとか、いわゆるコンサバだったり、王道という言葉に通じるものがあります。

どんな仕事でも、SNSにアップしたらそのハッシュタグを必ずつけています。それだけで、「長山はこういう人」という認識をされていきます。

—— 今後の予定を教えてください。

2017年11月に2週間ほど、NYへ出かけていました。先行してSNSではアップしているのですが「ON THE CORNER」というテーマで、NYの交差点を撮影しています。このテーマで作品展を開催したいと考えています。

写っているものはいわばドキュメンタリーです。一般的に35mmやレンジファインダーのカメラでスナップを撮りますよね。でも何かピンと来なくて、「自分ができるドキュメンタリーって何だろう」って、ずっと思っていました。この写真は何かというと「1億画素のカメラ」で撮っているドキュメンタリーなんです。

作品「ON THE CORNER」より。作品「ON THE CORNER」より。

—— 「交差点を超精密に記録しているドキュメンタリー」なんですね。

ハッセルブラッドの1億画素カメラ「H6D」で撮影しています。そもそも街角を撮るのは好きだったのですが、1億画素を使うのは、たまたま今の一番ハイスペックなカメラがそれなので、選択しています。

かなりパンフォーカスで、奥の方にいる人間の顔も厳密にフォーカスを合わせて撮っています。できるだけ動きを止めたいので、ビルの陰とか、曇天の日は苦労します。基本的にドキュメンタリーなので、画角を決めてカメラを構えたら、しばらくそこにいて面白そうな人物が通ったらシャッターを切っています。

気になったものをどんどん記録していって、そのピースを最終的に合わせて「自分の理想の街角」を作っていく、という新しいドキュメンタリーということで、#newdocumentaryというハッシュタグをつけて、先行発信しています。

作品「ON THE CORNER」より。作品「ON THE CORNER」より。

—— 一般的に街角スナップは、35mmカメラやライカでサッと撮ろうとしますね。

そうなんです。それこそエグルストンじゃないですが、そういう時代から鮮度のある35mmのドキュメンタリーというのはもう何十年も撮ら続けています。自分の目指すドキュメンタリーを進める中で、東京は近すぎて難しいかなと思って、NYと言えば誰でもわかりやすい、何度か行っているので土地勘もある、コーナーが碁盤の目になっていて交差点が多い、という理由でこの場所からスタートしました。

自分の中で一定程度以上の完成度がある写真を1カットとして、30カットを2週間で作りたいなと思って出かけましたが、結果的には45カット撮れたので、自分の中の今のベストを写真展としてアウトプットしたい。それを今後は色々な都市に広げていきたいと考えています。

その時に写っていた人や看板があって、10年後に見た時に「iPhone Xが出たのが10年前だったね」とか。それがグルスキーとまではいきませんが、展示で大きく見せた場合に様々なものが見えてきて、ドキュメンタリーなんだけど、そこにコンテンポラリーアート的な見え方も加わるのではないかと思っています。

—— 開催されるのを楽しみにしています。

Creator’s Profile

  • 長山一樹(Kazuki Nagayama)

    1982年 神奈川県横浜市出身。
    1998年 神奈川県工業高校デザイン科入学。
    2001年 株式会社麻布スタジオ入社。
    2004年 守本勝英氏に師事。
    2007年 独立後、S-14に所属。
    https://www.instagram.com/kazuki_nagayama/

    長山一樹(Kazuki Nagayama)

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